となりの車線はなぜスイスイ進むのか?

「読み応えのある交通科学書。ドライバー必読!」
電車通勤しなくなって、読書時間が大幅に減ってしまった…。やばい…。とゆー訳で、久しぶりの読書記録日記。

本書は単純な交通モデルに基づいた机上の空論的な交通科学ぢゃなくって、心理学的見地を含めた実質交通の科学書。「となりの車線はなぜスイスイ進むように見えるのか?」「実際、どれぐらいスイスイ進んでいるのか?」そんなあたりを入り口に、事故まで含めた盛り沢山の内容だ。

そういえば、私は自称「安全運転ドライバー」だ。たぶん、ほとんどのドライバーがそう思ってるのと同じく。:-) ただし、巷で言う「警察にキップを切られる危険を回避する」 安全運転ではなく、他者を事故に巻き込まない意味での安全運転を心がけているつもりだ。具体的には、できるだけ人のいない道を選ぶとか、少しぐらい遠回りしても、交通量の少ない道を選ぶとか、そーゆーところに特徴があるかな。他者と出会わなければ事故機会も減るだろう。なので、山道を通ることが多かったりするが、できるだけ運転しないってゆー選択もする。

昔はレーサーになりたいと思って練習していたこともあり、急制動などの運転技術も、平均以上の水準ではあると思っている。まあ、速さが絶対的な価値観でなくなった今、無茶な運転は滅多にしないのだが、同乗者から見ればカーブを曲がる時にあまり減速しない傾向があるらしい。私としては遅過ぎる方が、バイクを巻き込んだりする危険があると思うのだが…。

それはさておき、自称 "安全運転ドライバー" でありながらも、実は 2 度ほど子どもとぶつかってしまったことがある。一つは住宅地での子どもの飛び出し、もう一つはレストランの駐車場から出るところで自転車の子どもとぶつかるとゆー、ドラテクとは無関係なモノだ。どちらも時速 20 Km 以下で大事には至らなかったが、正直、運転するのが嫌になるほど、つらい経験だった。

無謀運転 (暴走行為と運転技術の探求を一緒にされたくはないが、見た目は同じなのだろうなぁ…) は危険に見えるのだが、そんな印象とは裏腹に、なんでもない日常の中にこそ実際の事故は潜んでいるってことを、身をもって経験した訳だ。

本書にも、そんな印象と現実の違いがいろいろ登場する。車線減少でできるだけは早めに合流した方が良さそうに思えるが、ギリギリの地点まで並走した方が道路のキャパシティを限界まで使えるとか、標識を撤廃したら事故が減った (情報がない恐怖心からドライバーは自ら情報を取り入れたり、安全な選択をするようになったりする) とか、渋滞が多い方が事故が少ないとか、印象と現実の違いに目から鱗が落ちるに違いない。

昔、視界が悪くて信号もない、とっても危険に思える五叉路が、実は交通事故ゼロ地点だとゆーのをテレビで見たことがあるが、我々は "危険に思える" (印象) のと、"事故が多い" (事実) が別であるとゆーことを、正しく知る必要がある。これは事故に限った話ではなく、もっと汎用的な意味で。そして、意思決定は、印象ではなく事実に基づいて行われるべきなのだ。

# 口説き文句がうまい人ぢゃなくって、生活力のある人と結婚しましょう、とか。:-)

話が脱線してしまったが、本書は交通の現実を知る良書。道路行政に関わる人、設計する人、そして車を運転するすべての人に読んでもらい。

となりの車線はなぜスイスイ進むのか?――交通の科学

となりの車線はなぜスイスイ進むのか?――交通の科学