情緒から論理へ

鈴木光司氏はこーゆー本も書くんだねぇ…。」
情緒的な意思決定の危険性を訴え、論理的思考の重要性を解く本書。おっしゃることはごもっとも。大いに賛成なのだが…。

最初に登場する母性とか父性が分からない…。(--; 単なる印象であって、ここに論理性はないよなぁ…と思った。ま、導入部だから分かりやすい話の展開ってのが大事ってことなのかもしれないが、どうも違和感が残っている部分だ。

後半は、大戦あたりの意思決定の話が展開される。論理的思考を欠いた情緒的意思決定が、いくつもの不幸を巻き起こしたとゆー話なんだけれども、私はこれは少し違うかもしれない…と思っている。

階層的意思決定の歪みとゆーか…。上位層の権限が強過ぎるとダメなんだと思う。独断による人事が可能だと、下位の者は上位の者の意向に従うしかなくなる。特に戦時中は国家反逆罪で逮捕、処刑なんてこともあっただろうから、下位の者から間違いを指摘することは、およそ不可能だったに違いない。そうなると、上位者のキャパシティの限界が組織の限界ってことになる。

これは現代の会社でも、株主兼経営者のワンマン型で、類似の問題を見て取れる。先代から引継いだ会社をアッとゆー間に倒産の危機にまで追い込んで…なんて事例もある。もちろん、ワンマンを発揮する人がとても優秀で、業績を伸ばしているところもあるので、ワンマン経営が 100% NG ってことではないけれど、たぶん、強力な権限を持っていても、それを振りかざすことなく、軌道修正するキャパを持ってらっしゃるから、うまくいくんぢゃなかろうか?

…とゆー訳で、本書は "情緒 vs 論理" の対立で展開されてるけれども、そこのところが問題なんぢゃなくって、全般的に意思決定のシステムの問題だと思う。国家レベルの巨大な組織の話を「情緒的だからダメなんだ。論理的思考をせよ。」ぢゃぁ、解決しないんぢゃないかな?「それこそ、精神論ぢゃないの?」と思ったのだけど…。

もちろん、論理的思考、論理に基づいた意思決定は大切なので、そこのところに異存はない。本書の主題とはずれたところで、ちょっと気になっただけなので、誤解なきよう…。

情緒から論理へ (ソフトバンク新書)

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