Python で解析 24

“Advent Calendar 2013 - Python で解析!” の二十四日目。実データの操作。

今回は、実際のデータを探ってみたい。ここまでのデータ操作を使って、簡単にできるところまで。

一応、これが Advent Calendar 2013 の最後。技術系の Advent Calendar では 25 までやるのが慣例のようだが、 Wikipedia で調べたら、 24 までと書いてあったからね!

1. 実データの取得

実データの取得がなかなか難しい…。ブログのネタ用に、データを探してみたのだが、なかなか都合のいいのが見つからない。ネタ的に、野球やサッカーなんかがよかったのだが、 PDF だったり、グラフ化された Web の記事だったり…で、 Pandas を試してみるのに、ちょうどいいのがなかなか見つからない。

政府系の Open Data の取り組みも、 Excel にレポート形式でまとめられてて、ちょっと加工してやらないと…といった感じで、軽いブログ記事でサクッと使うには、なかなか難しい。"DATA GO JP" ってのがあるのだが、フォーマットでは PDF が 4891 件でダントツの一位。う〜む、使えん…。CSV も 389 件あるが、放射濃度のデータがたくさんあって、クリスマスイブに取り上げるのもなぁ…。そんな中でも、レッドリストが使いやすくて、 Pands の練習にはちょうどいい感じ。テーマ的には、クリスマスイブなのに…とは思うが、探しまわるのに疲れたので、これで行くことにする。

import pandas as pd
In [1]: import pandas as pd

In [2]: df = pd.read_csv('http://www.sizenken.biodic.go.jp/va2007/va_2007.csv', encoding='Shift-JIS')

こんな感じで、 URL から直接 DataFrame が作れるのが便利。これで、クリスマスイブっぽいのが、見つかれば良かったのだが…。

2. 概要の把握

まずは、全体像を。

In [3]: df
Out[3]:
<class 'pandas.core.frame.DataFrame'>
Int64Index: 13498 entries, 0 to 13497
Data columns (total 11 columns):
種コード                     13498  non-null values
科名                       13498  non-null values
和名                       13498  non-null values
学名                       13498  non-null values
都道府県コード                  13498  non-null values
都道府県                     13498  non-null values
平成12年レッドデータブック刊行時のランク    13498  non-null values
平成19年レッドリスト選定時のランク       13498  non-null values
25千地形図名                 13315  non-null values
メッシュコード                  13498  non-null values
生育状況                     13498  non-null values
dtypes: float64(1), int64(2), object(8)

11 項目あって、int64 が 2 件しかないので、数値データではなく文字データのようだ。13,497 件のレコードがあり、ほとんどの項目に値が入っているが、"2万5千地形図名" には欠損があるようだ。"2万5千地形図名" を詳しくは知らないが、市町村名ぐらいで位置情報を特定できるものだと思われる。

軽く各項目の値も見ておく。

In [4]: df.head()
Out[4]:
    種コード     科名        和名                               学名  都道府県コード 都道府県  \
0   9240    ヒノキ  リシリビャクシン  Juniperus communis var. montana        1  北海道
1  60990  ヒルムシロ   リュウノヒゲモ           Potamogeton pectinatus        1  北海道
2   9240    ヒノキ  リシリビャクシン  Juniperus communis var. montana        1  北海道
3   9240    ヒノキ  リシリビャクシン  Juniperus communis var. montana        1  北海道
4   9240    ヒノキ  リシリビャクシン  Juniperus communis var. montana        1  北海道

  平成12年レッドデータブック刊行時のランク 平成19年レッドリスト選定時のランク 25千地形図名  メッシュコード    生育状況
0                    EN                 VU    鷹泊貯水池   654270  現存(生育)
1                    VU                 NT       鵡川   634167  現存(生育)
2                    EN                 VU      布部岳   644272  現存(生育)
3                    EN                 VU     胆振福山   644222  現存(生育)
4                    EN                 VU     神居古潭   654241  現存(生育)

11 項目もあるので、横には並べられなくて、分割して表示されている。横に並べて綺麗に見るには、 Excel とか…を使う方がいいだろう。

3. 欠損データの傾向調査

試しに、"2万5千地形図名" が入っていない都道府県を調べてみる。

In [5]: df[pd.isnull(df[u"2万5千地形図名"])][u'都道府県'].value_counts()
Out[5]:
鹿児島県    58
東京都     19
静岡県     18
熊本県     13
大分県      8

ブログの都合上、トップ 5 だけ抜粋した。

で、きっと、生息地域の偏りと同じに違いない…と思って、全体の都道府県を調べてみる。

In [6]: df[u'都道府県'].value_counts()
Out[6]:
北海道     798
岡山県     674
大分県     596
愛知県     537
山形県     533
宮城県     527
千葉県     519
長野県     453
三重県     437
鹿児島県    380

こっちはトップ 10 まで掲載してみたが、関連があるようには見えない。 念のため、統計的に調べてみる。

In [7]: s1 = df[u'都道府県'].value_counts()

In [8]: s2 = df[pd.isnull(df[u"2万5千地形図名"])][u'都道府県'].value_counts()

In [9]:

In [9]: df1 = pd.DataFrame({u'都道府県1': s1})

In [10]: df2 = pd.DataFrame({u'都道府県2': s2})

In [11]: tmp = df1.join(df2)

In [12]: tmp[u'都道府県2'] = tmp[u'都道府県2'].fillna(0) # 欠損データがなかったところに 0 を補完する。

In [13]: tmp.corr() # 相関係数
Out[13]:
          都道府県1     都道府県2
都道府県1  1.000000  0.163086
都道府県2  0.163086  1.000000

相関係数 0.16 ってことで、生息地域の偏りとは関係なさそうだ。

品種によって生息地が特定しにくい…とかあるのだろうか?

In [14]: s1 = df[u'科名'].value_counts()

In [15]: s2 = df[pd.isnull(df[u"2万5千地形図名"])][u'科名'].value_counts()

In [16]:

In [16]: df1 = pd.DataFrame({u'科名1': s1})

In [17]: df2 = pd.DataFrame({u'科名2': s2})

In [18]: tmp = df1.join(df2)

In [19]: tmp[u'科名2'] = tmp[u'科名2'].fillna(0) # 欠損データがなかったところに 0 を補完する。

In [20]: tmp.corr() # 相関係数
Out[20]:
          科名1       科名2
科名1  1.000000  0.778866
科名2  0.778866  1.000000

相関係数 0.78 ってことで、正の相関があるようなのだが、納得するには、もう一歩。

In [21]: df1.head(10)
Out[21]:
         科名1
キク      1605
カヤツリグサ   909
ゴマノハグサ   850
シソ       838
タヌキモ     801
タデ       628
ガガイモ     582
トチカガミ    533
ヒルムシロ    460
ミクリ      386
In [22]: df2.head(10)
Out[22]:
        科名2
カヤツリグサ   23
キク       20
シソ       12
アカネ      10
ゴマノハグサ    9
ガガイモ      8
ヤブコウジ     7
セリ        6
ミクリ       5
メシダ       5

両方の科名の重複状況から考えて、品種によって…というよりも、品種の多いものが "2万5千地形図名" の欠損が多いということなのだろう。財布を落としやすい名字を調べたら、全国の名字の多い順と類似していた…といったような、まあ、妥当な欠損状況のようだ。

…と、こんな感じで Pandas を活用して、データを調べられる訳だ。

4. 歯切れの悪い終わり方だが…

まだ、調査開始したばかりで、いきなり終わるのも気が引けるが、Advent Calendar の目的が Pandas の機能調査なので、ここまでとしたい。

あわよくば "マクドナルド対コンビニの垣根を越えた戦争が始まっている" みたいなレポートが出せれば良かったのだが、そう簡単には行かない。深堀してゆくには、それなりに時間がかかる (そして、実際のデータマイニングも、こーゆー地道な作業の積み重ねだったりするのだけど) …。

今回はこんなところで。