ランナウェイ/逃亡者

試写会のチケットをもらったので観てきた。公開前の映画を観るのは、ずいぶんと久しぶりのことだが、なかなかシブい大人の映画だった。

30 年前に姿を消した過激派グループ "ウェザーマン" の元メンバーの一人が逮捕されるところから物語は始まる。危険を察知したロバート・レッドフォード扮する弁護士のジム・グラント (元ウェザーマン) は、特ダネを狙う新聞記者と FBI からの逃亡を図る。だが、記者は気付く。何かがおかしいことに。

再び姿を隠すこともできそうなものなのに、そんな素振りを見せることなく、何かを追うように逃亡するグラント。記者はグラントを追うために情報を追い求め、少しずつ真実に迫ってゆく。派手なドンパチはなく、昔の記事や人間関係から、事実が浮かび上がってくる。そして青臭い真実よりも、大人の選択をするグラントに、熟成したウィスキーのような香り高い苦味を感じるだろう。

人はみな、社会生活があり、それぞれに事情がある。誰しもが、ごく普通の一般人である。たとえ、一時は社会から過激派と看做される行動をとったことがあったとしても…だ。それぞれの立場や事情によって、守るものと犠牲にするものがある。ロバート・レッドフォードが描きたかったのは、そんなフツーのことだったのかもしれない。

苦味を知る大人たちへ。