Mr.ブルックス

ハンニバルを超えた新たな殺人鬼が登場。」
依存症セラピーに通う異色の主人公 Mr.ブルックスは、殺人衝動への依存から解放されたいとゆー特殊な事情。つまり、禁酒、禁煙、禁薬物と同じように、禁殺人を望んでいる訳だ。

んが…。芸術的殺人の衝動を抑えられない。皮肉なことに、抑制しようとするその姿勢が、かえって冷静沈着で計算し尽くした完全犯罪を生み出してゆく。

主演はケビン・コスナー。ボディ・ガードが有名だが、私はロビン・フッドが好きだった。ボディ・ガードにしても、ロビン・フッドにしても、内に秘めた情熱を抑制し、冷静に振る舞おうとする役作り。それが今回はシリアルキラー役として異色な犯罪者に最適に思える。冷静なだけにかえってスリリングなシーンになって、はまり役と言っていい感じだ。

Mr.ブルックスを追いつめる刑事役には、デミ・ムーアが!!! ゴーストの時の純真さはない。うーん…。ハリウッドは戦う強い女が好きなのかな? アメリカってゆー国が女性を強くするのか? まあ、G.I.ジェーンで坊主頭のデミ・ムーアも観たし、今さら書く話でもないか。なーんか、沢口靖子と同じで、女優人生の中でキャラ作りの選択を間違えてるんぢゃないかと思うんだが…。

それはさておき、映画のキャラとしては、"羊たちの沈黙" のジョディー・フォスターと似たような立場かな。Mr.ブルックスの手引き (とは分からないんだよなぁ〜) で、脱走犯を壊滅。同時に、自分へとたどり着かれる虞れのあった証拠を隠滅。衝動的に思えるのに冴え渡る芸術的プラニングを見せる Mr.ブルックスに、ハンニバル・レクター博士を超える新たなヒールの誕生を垣間見た。すべてを終えた後、Mr.ブルックスはアトウッド刑事 (デミ・ムーア) に電話する。自分を追ってる刑事を調べたところ、金持ちの家に生まれながら、自立した刑事の道の歩むアトウッドに興味を持った訳だが、その様子はハンニバルクラリスに連絡するシーンを彷彿とさせる。「ハーイ、クラリス。まだ、羊の数を数えているのかな?」

この映画、なかなか上品な作りだし、Mr.ブルックスが妙に家庭的だったりして、この先、どんな話を作ってくれるのか、とても楽しみな設定を持ってるのだが、残念ながら、あんまり話題になってた記憶がないから、次回作とかってことにはならないかもしれない。うーん〜、私は好きなんだけどねぇ〜。