アドルフに告ぐ
「さすがに古さは隠せないが、手塚治虫著の名作。ぜひ、ご一読を。」
おもしろかったと紹介されて手にした本書。史実を基にしたフィクションとして、薦めに違わず、とても興味深い内容だった。
連載作品だったらしいが、連載前からエンディングまですべてのシナリオができあがっていたのだろう。3 人のアドルフと、狂言回し役の峠草平らの絡み合った人生が、手塚哲学を絶妙に描く。
"ブラックジャック" や "火の鳥" もそうだが、ハリウッド映画のような分かりやすい答えを表現手法として選ばない手塚治虫氏。読者の中に答えを作り出そうとする意図なのだろうが、読後に心にズッシリとのしかかってくる。重く、重く…。振りかざす正義の正体ってヤツの
どう表現すればいいのか分からないが…。メインアクターである二人のアドルフよりも、歴史上の人物であるアドルフ・ヒトラーに興味が尽きない。狂気の時代…狂気に向かった経緯が今の私の最大の興味の対象だった。独裁者の立場は孤独で、狂気に走るしかない宿命なのか? と。
…なーんか、自分の会社の経営陣と被るので…。:-)
- 作者: 手塚治虫
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