子どもの貧困

「見ようとしなければ知ることのない世界がここにある。」
毎日の自分の生活で精一杯の中でも、新聞やネットで情報をウォッチするも、足下が見えてなかった。いや、見ようとしていなかったのだ。通勤中や帰路で何人ものホームレスに遭遇するのだが、いつの間にか意識の外に置いてしまうことに慣れている自分がいることを思い出した。助けられない無力さと向き合うのが怖いからだが、自分の目で見えているところでさえそうなのだ。わざわざ力の及ばないところの問題まで知りたいはずがない。

だけど、それが危険なのだ。見えないのは "ない" のとは違う。"ある" のだ、そこに。

一人一人ができることは限られている。世界中の平和を願いつつも、何もできないことは罪ではない。個人が解決すべき問題ではなく、国が解決すべき問題だからだ。だけど、国が問題を解決するには、国民が問題を知らなければならない。誰も知らない問題は、国も知らない。知らない問題は解決されない。

民主主義社会においては武器は数だ。だから、知って欲しい。"子どもの貧困" を。何もしなくていいのだ。知るだけで。それが、何かをしようとする人の力になるから。

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

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