決算書のワナ

「決算書の見方に関する一般書は、そろそろ最後でいいかな。」
"危ない会社の見破り方" と副題があり、B/S や P/L, C/F にどのような特徴が表れるかを解説した本署。最終章 "応用編 実際に破たんした会社の決算書に学ぶ" に1/3 ほどページを割いてあるのが特徴で、ノヴァやリーマン・ブラザーズが登場する。既に結果が出ている会社の決算書を見て、「ほら、兆候は出ていたんだよ。」ってのは、「私の言った馬券を買ってれば、大儲けできたのに、損しちゃいましたねぇ〜。」などと言う、怪しい予想馬券屋みたいに思えるが、そのあたりは著者も重々した上で、あえて書いておられる。

確かに結果論ではあるのだが、予想馬券屋と大きく違うのは、結果から導かれるパターンがあること。どうすればうまく行くかは誰も教えてくれないが、失敗するパターンとゆーのはある。そこんところを書いてあるから、結果論でも大きな価値があるのだ。

幸か不幸か、真剣に決算書を見る機会があり、本から得た知識を有効活用している訳だが、確かに兆候ははっきりと現れている。ただ、このまま放置できないとゆーことを共通認識とするのは難しく、パターンが見えてからと言って、破たんに向かうのを止められる訳ではないのが、悩ましいところではある。

システム開発こそが興味の中心だった私が決算書を見るようになったのは、自分が置かれた状況による受動的なものなのだが、自分のことは棚に上げて、「決算書の見方は義務教育レベルで学んでおいてくれ!」と言いたい。明らかなパターンが出ていても、「だけど、つぶれるかどうかなんて分かんないぢゃん。中小企業なんて、どこも似たようなもんでしょ?」とゆーのが大半の認識なのだが、つぶれてからでは手遅れなのだ。「んぢゃ、どうゆー対策をするべ?」とゆー議論にスムーズに進むためには、本書程度の決算書の見方は、みんなが知っておくべきだろう。…理想論ではあるが…。

決算書のワナ―危ない会社の見破り方―

決算書のワナ―危ない会社の見破り方―