部下は育てるな! 取り替えろ!!

「過激なタイトルだが、果たして、著者の意図は?」
これは誤解を生みそうなタイトルである。ってか、おそらく誤解する人も少なくないだろう。「使えないヤツはいらない。いくらでも替えはいる。」と豪語する君主制とゆーか、軍隊的思想の経営者や管理職にとっては、我が意を得たりといったところだろう。私にしても、そーゆー思想のヤツがどんなことを書くのか興味があって本書を手にしたのだし。

ところが…。本書の意図はそうではなかった。一言で表すと「上司力」について書かれた本だ。当初の期待を大いに裏切る、良い方に期待はずれとなった名著だ。

本書にも書かれているが、どんな名コーチもイチロー選手を育てることなんてできやしない。イチロー選手は自ら育ったのだ。部下についても同じで、優秀な部下は教えて育つのではなく、自ら育つのだ。彼らが育つ環境の一部として、自分の上司力を磨き上げること、徹底したロジカルリーダーであることを要求するのが本書の趣旨だ。それが、強い組織作りとなるって訳だ。

本書からエッセンスは拾っていただくとして…。

言ってしまえば、本書に書かれているリーダーシップ像は、常識にとらわれずにロジカルに考えれば必然的に導かれる結論ばかりだ。結局のところ、常識の壁 (あるいは古いモデル) と、自分の感情をコントロールすることが難しい訳だ。芳しくない経営状況の中や、顧客や上司の理不尽なプレッシャーの中で、理性を保ちながら上司力を発揮するのは、かなりの精神力が必要となるだろう。本書に付け加えるとしたならば、そのあたりか。

あえて逆境に身を置き、胆力を身に付けられたし。

部下は育てるな!  取り替えろ! !   Try Not to Develop Your Staff (光文社ペーパーバックス)

部下は育てるな! 取り替えろ! ! Try Not to Develop Your Staff (光文社ペーパーバックス)