サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす 11 の魔法

「サッカーだけでなく、児童教育の本として、素晴らしい内容だった。」
"たちまち重版" だそうな。ウーム、たくさん売れてるからいい本なんだと思わせる宣伝方法が気に入らない。売れてようが、売れてまいが、いい本はいい本なんだ。で、この本はいい本だ。:-)

著者の池上正氏は、ジェフ千葉のジュニア担当コーチ。だから、当然、子どもにサッカーを教えている訳だが…。いや、教えているとゆー表現は不適切かもしれない。子どもが伸びる環境を整えることこそ、彼の本業と言うべきだろう。練習メニューの工夫、練習中、試合中に投げかける言葉、そして親のケアーと、子どもが自ら伸びてゆくための創意工夫が随所に見られる。

大切なことは、子どもが自ら考え、工夫し、成長してゆくのを "見守る" こと。これはサッカーに限った話ではない。子どもは失敗しても自分で考える力がある。最初は未熟だけれども、繰り返してゆけば必ず伸びてゆく。その部分を伸ばすことがもっとも大切なことなのだ。本の分類としてはサッカーコーチや、サッカー少年、少女の親が読む本とゆーことになるのだろうが、ほとんどサッカーに限定されない話だから、児童教育書として十分に活用できる。いや、応用力があれば、社員教育にも適用できるだろう。人は自ら学ぶのだ。ガミガミ怒鳴っていれば、小さな枠の中で最適化してしまうが、しっかりと成長につなげてゆくことができれば、会社にとっての大きな壁をも突き破る力になるに違いない…ってのは、理想論か…。(^^;

池上正氏の方法論は、大人にものすごく我慢を強いることになる。なんせ、応援している我が子に向かって、「走れ〜! 右にパスだぁ〜!」とか言うのは、逆効果になるってゆーんだから、なかなかつらいぞ〜。(^^; もちろん、「勝ちたい気持ちが弱かったな」なーんてゆー精神論もナンセンス。んぢゃ、どーするか? 「どーすれば良かったと思う?」と子どもと対話をすることが望ましい訳だな。

子どものうちの目先の勝ち負けよりも、大きく伸びることの方がはるかに大切だ。理屈では分かっていても、親としては自分を抑えるのも一苦労だったりする。望ましい大人の行動ってのがよく分からないことが一つの原因で、効果がないこと、逆効果であることを分かっていても、ついつい自分が受けてきた (見てきた) 教育の中から行動を選ぶことになってしまう訳だ。本書の中には、子どもが試合に負けている時に、コーチや親が何を言ったら望ましいのかといったことも書かれているから、感情を抑えて理性的に振る舞いたい気持ちがあれば、きっと子どもに効果的な言葉を投げかけることができるだろう。ホント、子どもがどうやって成長してゆくのか、よく考えておられる。サッカーとゆー限定されたフィールドで、よくあるシチュエーションがたくさん登場するから、具体例もものすごく分かりやすい。児童心理学みたいな難しそうな本とは一味違うこと請け合いである。

少しでも教育に関係のある大人たち、すなわちすべての大人たちに手に取ってもらいたい一冊。

サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法 (edu book)

サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法 (edu book)