ワーキングプアは自己責任か

「自己責任だと思っていたけど、社会問題だな、こりゃ。」
正社員雇用が減っている状況で、バイトや孫受け、ひ孫受けの契約社員など、低収入の人が増えている分けだが、そーゆー人生を選択するのは本人の自由だと思っていた。いや、まあ、今でもけっこう思ってはいる。より良い収入を得るために、自分の何かを変えることは可能なように思えるのに、自分を変えることなく、甘んじて低収入を受け入れているように見える部分もあるし…。

んが、すべてが自己責任ではないのだな。社会全体がそーゆー流れになってるってのもある訳だ。これは他人事ではない。

自分の他にもう一人しかいない世界にいたとする。そこで自分が何か偉大な発明をして、相手に売りたいと思ったとしても、相手はお金を持っていなければ買ってくれない。"相手からお金をもらうためには、相手がお金を持ってなきゃならない" のだな。

ワーキングプアが増えるってことは、お金を払う人が減るってことだ。少子高齢化で人口も減少してゆくとゆーのに、これは由々しき事態ではないか。企業の売り上げが減少すると、そのうち賃金にも影響してくるかもしれない。乳製品とか小麦とか原油とかの値上がりの影響で、物価が上昇傾向にある中で、収入が減るのはみんな困るはず。だから、他人事ではないのだ。

良いものを作ったり、良いサービスを提供したりしても、それに対して対価を支払ってくれる人がいなければ商売は成り立たない。だから、儲けたいなら、ワーキングプア問題を解決して、お金を払ってくれる人を増やすことは大切なことなのだ。みんなの幸せは自分の幸せって訳だな。

とゆー訳で、ワーキングプアの現状をいろんな角度から書かれているのが本書。「所得格差からセックス格差へ」など、普通ならあんまり触れられないような話題まで触れていて、単なる一過性の問題ぢゃなく、未来へと繋がる社会構造の大きな問題であることが分かる。

ワーキングプアは自己責任か

ワーキングプアは自己責任か

最後の章、「ワーキングプアの連鎖を断ち切るために」はちょっと弱いかな。ま、この本の役目は、現状を俯瞰し、問題意識を共有するところまでで、十分に役目を果たしているから、気にしない。