食肉の帝王
「まだまだ世の中、知らないことだらけだねぇ〜。」
食肉卸売業のハンナンの元会長、浅田満氏の全貌を綴った本書。まさか、BSE 対策の裏側で、ぼろ儲けしている人がいたとは…。
BSE 対策として、国が国産牛を買い取って、焼却していたとゆーことを、恥ずかしながらまったく知らなかった。当時、輸入制限、全頭検査といったキーワードがニュースになっていた記憶はあるのだが、まさか、国内で大量の牛肉が処分されていたとは…。
問題は、「本当に国産牛だったのか?」とゆーところにある。そう、ここに産地偽装問題が絡んでくるのだ。今となっては物的証拠はない。なんせ焼却してしまっているのだから。
安い輸入牛肉の安い部位を高い国産牛の価格でうまく売りぬけ、ぼろ儲けして証拠は焼却。まさか、そんなことが起こっていたなんて…。衝撃的過ぎる。国がどれだけ杜撰なことをやっていたのか、いや、片棒を担いでいたとゆーべきか、担がされたとゆーべきか…。浅田満氏が築き上げた食肉帝国の影響力の強さ、その全貌を綴ったのが本書だ。
ある意味、それだけの影響力を一代で築き上げた浅田満氏の手腕はものすごいものがある。常にどうすれば儲かるかに全力を注ぎ、使える手段は躊躇なく使ってきた訳だ。政界、財界、同和、ヤクザも登場する。ちょっとやそっとで真似のできるような芸当ではない。
大量の牛の尊い命が、こんなことで失われてしまったことは腹立たしい限りなのだが、まあ、その部分はさておき、巨大帝国の実態は非常に興味深いものがあった。
- 作者: 溝口敦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/11/19
- メディア: 文庫
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