「1秒!」で財務諸表を読む方法

「1 秒で読める訳がない〜。でも、そこがミソ。:-)」
いつもにも増して、「タイトル重要」ってのを思い知らさられた本書。

財務諸表をチラッとでも見れば、とてもぢゃないけどチラミで分かるようなシロモノでないことは明白だ。「1 秒で読める訳がない〜。」とゆーのが、まったくもって正常な人の反応だ。だが、読者がそー思うであろうことは著者も出版社も分かっている。承知の上で、あえてこのタイトルを選んだのは、「もしかして、1 秒である程度は分かるのかな?」そー期待する人に本書を届けるためだろう。ちゃんと財務諸表を読んでいる人は、この本に見向きもしないだろうけど、読みたいけれども時間にゆとりがない、とゆー人の食指が動く絶妙のタイトルになっている。

# そして、まんまと私が手に取ってしまったと…。:-P

内容は財務諸表の見方入門。強調しておきたいのは「作り方ではない」とゆーこと。作るのは専門家に任せておけばいい、とバッサリと斬り捨ててあるから、作るための難しい話は出てこないのだ。あくまでも、できあがったモノをどー読むかだけに絞ってあるのがいい。

大抵のものは、作るのが難しくて、読むのは易しい。漢字や英単語みたいに、読めるけど書けないのはたくさんある。小説だって、読むのは楽しくても書くのはなかなか骨が折れるハズ。ドミノの立てるのは何日もかかるけど、倒すのは数分だもんなぁ…。

本書には、資本、資産、売上原価などなど、財務諸表を読むための基礎的な知識が分かり易く丁寧に説明されている。この手の本は、どーもややこしい話が多いのだが、作るための本ぢゃないから、細かくてややこしいところがなくて、会計の素人に分かりやすくまとまっているのだ。

しかし、売り上げが○○億円、原価が○○億円と書いてある数字を読むだけでは、財務諸表を読んだことにはならない。その数字から企業の実態を把握できて、初めて読んだことになる。例えるなら…。そうだ、健康診断に近いかもしれない。体重や体脂肪、血圧や血糖値がいくらで…と数字の羅列があるけれども、その数字が表しているものがいったい何で、正常値と比べてどーなのか、去年と比べてどーなのか、そーいったことを読み取ってこそ、初めて活きた "情報" となるって寸法だ。

どの金額に着目するのか? どの金額の関係が重要なのか? 去年までの数字と見比べて何が見えてくるのか? 財務諸表を読んでいる人にとっての常識をたった一冊で学べるお得な一冊。1 年前にこの本に出会いたかったなぁ…。