オプティミストはなぜ成功するか

オプティミズム (楽観的な心持ち) は身に付けられるってゆー話。」
テーマは有意義だし、研究レポートは貴重だし、オプティミズムを身に付けるためのトレーニングまで網羅されているんだけど、とってもくどいんだよなぁ…。結論は明白なのに、研究の経緯や経過も延々と綴られていて、読んでて疲れた…。

でも、ウツが蔓延している現代社会において、オプティミズムの研究は貴重だ。好成績を上げる社員のタイプから、大統領選挙の行方まで分かってしまうのだから、一読の価値はある。

かいつまんで要点だけ書いちゃうと、オプティミストペシミスト (悲観的な心持ち) の差は、モノゴトの捉え方にある。で、それは説明表現に現れるのだそうな。

オプティミストは悪い出来事を一時的なものであり、自分以外のところに責任の所在を見つける。良い出来事なら、永続的で自分の成果だと考える。ペシミストはその逆ね。例えば、旅行の日に雨が降った時に、その事象をどー説明するかでオプティミストペシミストのどちらの傾向が強いかが分かるって寸法だ。

本書の分析レポートの一つでは、社員採用で比較実験を行っている。いろいろな設問に対する説明表現を分析したオプティミスト度で採否を決めた場合と、通常の入社試験で採否を決めた場合とで、その後の業績を比較するのだ。もちろん、オプティミスト度で採否を決めた方が成績が良かったから、この本に取り上げられている訳で、設問の内容に少しばかり疑問があることもあり、100% 納得することはできないものの、結論は妥当なものだと思われる。

# あまり関係ないけど、採用つながりで "ア行の時代 | DNA of DeNA" もおもしろい。

大統領選では、過去に遡って演説を分析し、そのほとんどでオプティミスト度が高い方が勝っているとしている。分析の評価基準が妥当なのかどうか疑問は残るものの、世界中のどの国の人であっても、悲観的な人をリーダーに選ぶはずはないので、分析結果は正しいと考えられる。

モノゴトを動かすには、楽観的な部分が必要なのは当然だが、楽観的ならいいってもんぢゃないし、悲観的なのが悪いってことでもない。大切なのはバランスと適正だ。バランスってのは、悲観的過ぎて人生に絶望し、自殺なんかしちゃった日には目も当てられないし、楽観的過ぎて、火の中、水の中へ飛び込んでおっちんぢゃっても、これまた不幸なことだから、楽観的過ぎず、悲観的過ぎないどこかで、個々人がバランスをとらなきゃね、ってこと。適正ってのは、リーダーは楽観的な方がいいけど、参謀は悲観的な方がいい、みたいな話だ。

で、本書の原題は "LEANED OPTIMISM" だから、ペシミスティックな部分をある程度コントロールして、オプティミスティックな方向へ向かうための方法が書いてある。ウツの自覚症状があって精神的に疲労気味なら、この本のトレーニングを試してみてもらいたいけど、「どーせ無駄だろう…」って思っちゃうんだろうなぁ…。とゆー訳で、この本を読むなら、ウツ気味な人の支えになるような人がいいだろうと思われる。ちと、くどい本だけど…。

トレーニング方法は有効だと信じていいと思う。どちらかと言えば悲観的な見方をする私の助けになってる友人や先輩、恩師、同僚、そして嫁が言ってることと通じるモノがあるからね。

オプティミストはなぜ成功するか (講談社文庫)

オプティミストはなぜ成功するか (講談社文庫)