ホテル・ルワンダ

「ん? 彼は英雄なのか?」
アフリカと言えば、ライオンとゾウとブッシュマンと…。そんな先入観は、ちょんまげ、腹切りの日本みたいなものなんだろうな…などと思いつつ…。こんなことはどーでもいい。:-P

民族抗争、大量虐殺、人民救済を描いた本作品。"シンドラーのリスト" みたいなものなのかな? 観てないけど…。

大統領を乗せた飛行機が追撃されたのを発端に、大量虐殺モードに入ったルワンダ。100万人虐殺と云うあまりにも悲しいエピソードで、目を覆いたくなるシーンや、腹立たしいシチュエーションが多いのだが、それだけに臨場感がとてもリアル。で、ホテル・ルワンダの支配人であるポール。彼を頼って集まって来た村人たちを救済し、最後は英雄となる、実話を基にした感動の名作なのだ。

…なんだが…。

アフリカと言えば、まだまだ政治的腐敗が蔓延っている社会。そんな中で、主人公のポールも思いっきり賄賂を使いまくり。利益とは無関係に国民の平和を守るべき国家軍が、賄賂なしには満足に機能しなかったのは、金持ちが媚薬を嗅がせまくったからでは…? もちろん、彼一人の責任ではなく、そーゆー社会情勢な訳だが、そーは言っても一端を担っていたのは間違いない。

けして彼を非難したい訳ではない。乏しい想像力と少ない知識で、当時のアフリカの状況に思いを馳せれば、彼の意思決定も行動も "ベスト" だったと言っていいはずだ。賄賂も含めて、ね。死のリスクを冒してまでも高潔である必要なんてない。自分と家族が生き残れる安全を確保するための選択を、部外者がとやかく言えるはずも無い。ただ、高潔の英雄ってことはなかったよなぁ…と思っただけ。

逆に、孤高の思想を貫く伝説的な存在ではなく、誰もが持っている人としての弱さと情の厚さを持ったポールだからこそ、この映画が多くの人の共感を得たのだと思う。