"環境問題のウソ" のウソ

「"環ウソ" を読んだら、これも読まねば。」
"環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)" は衝撃的な内容だった。環境問題を軽減すべく、良かれと思ってやっている事が、効果がないどころか、かえって悪化させている可能性があると書いてあるのだから。

" 教授" と云う肩書きは、内容の正しさには関係ないけれど、内容が内容だから、多くの敵を作る覚悟と相当の決意があって書かれたものに違いない。デタラメなことは書けないはずだと考えていた。加えて、私の住んでいるところでは、燃えるゴミと燃えないゴミが同じように回収される地域で、事実上ゴミの分別に意味がなさそうなのだ。ここから、たとえ資源ゴミといえども、回収された後がどうなっているかは分からないと思っていたし、廃棄物処理業務を行う会社のシステム開発に携わっていた時に "お役所体質" をさんざん実感したのもあり、武田氏の主張が的外れなモノとは思えず、十分に考えられることだと思っていた。鵜呑みにした訳ではないけれど、検証するに値するなぁ…ぐらいかな。

そこに登場したのが、"環境問題ウソのウソ" (山本弘著) だ。

山本弘氏と言えば、名作 SF 小説 "神は沈黙せず(上) (角川文庫)", "神は沈黙せず(下) (角川文庫)" の著者である。これは豊富な知識を物語に巧みに織り込んだ傑作小説なのだ。そして "と学会会長" でもある。その山本氏のアンテナに触れたと云うことは、"環ウソ" にはトンデモ科学の匂いがするってことか? と手にした本書。うーん…こ、こ、これは…。

真実にたどり着くためには、やはり違う見解も知っておくことが望ましい。偏った情報から安易に結論を出すと、後戻りのできない暴走の危険があるからね。何を真実と見るかは、両書を読んだ人の判断にお任せするとして、とりあえず、ペットボトルはちゃんと分別して捨てるのが良さそうだ。:-)

“環境問題のウソ”のウソ

“環境問題のウソ”のウソ

この本も、揚げ足取り的な本質的ではない部分や、個人への人格攻撃的な部分が含まれていて、そのあたりは読んでいて少々つらい。直接的に武田氏を貶めるような文章は、本書の良さを霞めてしまうように思える。著者は科学者として論文を書いている訳ではないし、読み物としての面白さの方が優先するのかもしれないが、それにしても、もったいないと思うのだが…。