大人が知らない携帯サイトの世界

「川で隔てられたあちら側には、トーゼン、違う文化が育つのさ。」
"モバゲータウンがすごい理由 ~オジサンにはわからない、ケータイ・コンテンツ成功の秘けつ~ (マイコミ新書)" に引き続き、ケータイ文化を知る為に読んだ本書。

同じインターネットの上にいながら、ケータイワールドには PC からはアクセスできないものが多く、ケータイから PC ワールドにアクセスするには、パケット定額制が使えなかったり、読みにくかったりして、ケータイ用の窓口を用意しているモノでなければ、アクセスするのには壁が高い。また、ケータイワールドはキャリアの規制が厳しいこともあり、その結果、まったく異なる文化が育ってしまった。

世の中には、所得が違ったり、世代が違ったり、性別が違ったり、職業が違ったりなどなど、いろんな違いで、同じ空間にアナザーワールドが存在する。実は PC ユーザー同士でも、人によって違う文化圏にいたりする。そうは言っても、PC ワールドはその気になればアクセスできるから、一応、近隣の匂いぐらいは知っていたりする。が、ケータイワールドは事実上、切り離された世界。何が起こっているのか、まったく知らない大人が大多数だと思われる。

ケータイ業界で仕事をすることになった (まあ、所属部署はケータイ中心ではないのだが…) ので、"モバゲータウンがすごい理由 ~オジサンにはわからない、ケータイ・コンテンツ成功の秘けつ~ (マイコミ新書)" を読む少し前から、ケータイサイトの調査 (電車やトイレで遊んでいること) をしているが、率直な感想で言えば、情報としての価値が高いとは思えない。圧倒的に、PC ワールドの方が有意義だ。情報持続力に強みがあるとでも言おうか。一方のケータイワールドは、コミュニケーションのあり方や、ケータイ小説など、まず間違いなく一過性のモノだろう。が、流行に敏感な若年層が築く文化圏なだけに、瞬間最大風速はかなりのものがある。瞬発力のケータイワールドといったところか。

いろいろ社会問題にもなっているが、ダークサイドばかりではない。PC ワールドとは違う何か新しいモノを生み出す力は十分にある。そんなケータイワールドを垣間見せてくれた本書だった。

日本独自の文化であるケータイワールド。PC ワールドアクセスのパケット代が安くなり、ケータイが高性能化するか、もしくは Wi-Fi 網が充実するか…。おそらく、3 〜 5 年後には、境界線はなくなってゆくはず。それまでに何が起こるか、けっこう楽しみにしている。