東大のこと、教えます

東大のこと、教えます―総長自ら語る!教育、経営、日本の未来…「課題解決一問一答」

東大のこと、教えます―総長自ら語る!教育、経営、日本の未来…「課題解決一問一答」

漫画 "ドラゴン桜" を読んで、東大に興味を持ったことから手にした本書だが、残念ながら東大のことはあまり教えてくれない。タイトルに偽りありだ。しかし、いい方に期待を裏切られた。「東大の総長は、こんな人です」とでも付けたくなるような内容で、とてもおもしろいのだ。

東大の総長と云えば、立派な肩書きだ。そんな人の名前で出す本なのに、まったく硬くない。口語文体で、「何歳までなら子供は親の脛をかじってもいいですか?」などと云う質問に真摯に答えてくれている。「少子化を食い止めるにはどうしたらいいですか?」なんて、フツー、東大の総長にするとは思えない質問も出てくるのが、また、おもしろい。

東大と云えば秀才集団。足を踏み入れることのない別世界の話だと、必要以上に大きく見ている人は私だけではないだろう。そんな硬い固定観念を打ち砕き、「意外とフツーかも…」と等身大に引き戻してくれるところが、本書の最大の価値かもしれない。受験生がこれを読めば、平常心で入試に望めるに違いない。

最後の章に梅田望夫氏との対談が掲載されている。本文中にも教授に招きたい一人として名前が挙がっていた梅田氏に、実際に対談で「梅田さん、東大の先生にはなりたくない?」と訊いたのだが、さて、その答えは…。