"飲む"

胃カメラは "飲む" と表現するけれど、鼻から入れる場合はどうなんだろ?」

先日、健康診断を受けた。胃透視をしてもらったんだけど、造影剤がうまいとかまずいとかよりも、胃の動きを止める注射がつらかった。注射が痛いのもあるけれど、副作用がかなりつらい。目の焦点は合わなくなるし、なんか平衡感覚が危うくなってしまうし…。ま、その状態でフットサルをやってたんだけどね。:-)

胃カメラの方が後が楽そうなので、次回から胃カメラにしてもらおうかと思っているのだが、最近は鼻から入れるヤツもあるそうな。それを聞いて「鼻から飲むの?」と質問した途端、空気が凍り付いてしまった。

"飲む" は英語で "drink" だけど、"飲む" と "drink" は同じではない。スープは日本語では "飲む" だけど、英語では "eat" だ。どうやら日本語と英語では着目している点が違うらしい。日本語は対象が液体か個体か気体かで動作が呼び方が変わる。個体なら "食べる"、液体なら "飲む"、気体なら "吸う" と表現する。…と最初は思ったのだが、"誤飲" と云う単語がある。と云うことは、咀嚼するかどうかで "飲む" か "食べる" を使い分けていると考える方が辻褄が合う。肺を使う、喉を使う、顎を使うで表現を分けてるようにも思われる。このあたりの定義は厳密ではなく、成長しながら脳に語感を構築していく過程が人によって違うので、もしかしたら人によって多少のズレがあるかもしれない。

英語の場合は、スプーンやフォークなど道具を使うと "eat" で、カップやグラスを口に付ける場合に "drink" を使うようだ。ただ、カップに入れたスープを直接口に運ぶ場合に drink と表現するのかどうか分からない。英語勉強中の身では、それを考察できるほどの語感は、まだ育ってない。

さて、本題の胃カメラ。鼻から体内に入れる動作を表す日本語は "吸う" の他に思いつかないけど、気体ぢゃなないから "吸う" にはかなり違和感がある。"吸う" は口から吸う場合は喉の動作って感じがするけど、鼻の場合は鼻だけの動作って感じがするので、奥までモノが入るのに "吸う" と表現するのはものすごく違和感がある。胃カメラは個体だけど鼻で租借するはずもないから "食べる" も違和感がある。"飲む" にも違和感はあるけれど、一番近いと思うのだ。きっと喉を通る時の感覚って飲む感じに似ているだろうし、"胃カメラを飲む" ならまったくごく自然に聞こえるぢゃないか! "鼻から" と言わなければ。嘉門達夫も "鼻から牛乳" なんて歌ってたし、きっと "飲む" が一番いい表現に違いない…と思ったが、よく考えれば、あれは "鼻から牛乳を出す" んだよなぁ…。

「麻酔して先生に入れてもらうらしいから、自分では何もしないんぢゃない?」とは嫁の弁。"飲む"、"食べる"、"吸う" のいずれも鼻、口の能動を表現するもので、鼻からは胃カメラを "飲む" ことも、"食べる" こともできないから、違和感があっただけのことらしい。誰もそんなことしないんだから、言葉も生まれてこない訳だ。