能力

「主観を当てにせずに、自分で見極めることが大切。」

  • A 氏「十分に技術力があります。お任せください。」
  • B 氏「経験はありますが、まだまだ力不足です。」

言葉だけを見れば、圧倒的に A 氏が優秀に思えるが、A 氏ははったりかもしれないし、B 氏は謙遜かもしれない。では、両方とも嘘やはったり、謙遜もないことを前提条件としたらどうだろうか? 嘘やはったりがないのなら、優秀なのは A 氏に決まっている…と思われるかもしれないが、それも違う。主観は、それぞれは自分の置かれている環境の中で自分を評価しているに過ぎないからだ。

  • A 氏は日頃からまったく技術を研鑽することなく、ゴール設定が低い。その技術が 50 のノウハウですべてだと考えていて、そのうちの 40 を習得している。
  • B 氏は同じ技術には 300 のノウハウがあると考えている。そのうちの 100 しか習得していないために、自分では未熟者だと思っている。

この場合、40 と 100 なので、優秀なのは B 氏の方だ*1。もちろん、A 氏が 300 のうちの 250 のこともあるし、B 氏が 300 のうちの 20 のこともある。どこで十分と判断するかも人によって違うので、95% でも未熟だと思っている人もいれば、20% でも十分だと判断する人もいる。

  • 全体量をいくらと考えているか?
  • そのうちの何パーセントを持っているか?
  • 何パーセントで十分と考えるか?

これらが A 氏、B 氏だけでなく、評価者自身の基準も違うのだ。「まさか 50% にも達しないのに、技術力があるとは言わないだろう。」「力不足と言うのだから、30 以下の力だろうな。」などと云う判断は、成立しない。不確定要素ばかりのものでは、自己申告なんかでは能力はまったく分からないのだ。

この状況では、謙遜すると損をするばかりだから、しっかりと自己 PR して…と云う話は、他でもいろいろ言われることであるから、ここでは評価する側がしっかりとした評価能力を持たなければ、結局、損をするのは評価する側である点を強調しておきたい。「できると言ったのに、ちゃんとやり遂げないとはどういうことだ?!」と怒ったところで、過ぎた時間は取り戻せないからだ。

ダマされる人が多いと詐欺が横行するだろうし、国民が政治を理解しなければ、ちゃんとした政治家ぢゃなくって、選挙だけが上手な政治屋が横行する。システム開発も丸投げしちゃうと、ちゃんとできる所ではなく、"できます" と宣言したところに流れてしまう。きっと、顧客側がしっかりと IT を理解するようになれば、失敗プロジェクトは激減すると思うのだ。

*1:もちろん、優秀かどうかだけが評価の対象ではないが、話が発散してしまうので、ここでは触れない。