解剖

「一度は見ておいた方がいいんぢゃない?」
"人体の不思議展" に行ってきた。図鑑や人体模型とは違った、斬新な切り口 (まさに "切り口") に驚かされた。

個人的な事情があって、どうしても足首の靭帯に注目してしまうことが多かったが、圧巻は血管模型だ。脚や腕、心臓周辺、全身といくつかのバリエーションがあったが、肺の周りに凝縮している血管のそれは、幾何学図形にも似た一種の美しさのようなものがあった。

頭や胴体を輪切りにしてプラスチックのセルに入れ、それを並べている展示物もあった。CT スキャンの実物版…かな。映画 ザ・セル の中で、生きた牛の上にガラスの板が降りてきて、一瞬にしてスライスしてしまうシーンがあるのだけど、それを思い出してしまった。ザ・セルは脳内世界を表現したカットが多いのだけど、特にあのシーンにはかなりの衝撃を受けた。それの人間版だからなぁ…。

献体してくださった方々に、いい学習をさせてもらったと感謝しつつ、会場を後にした。

とある展示物の前で、「製作者は絶対に遊んでる。こんなカットに意味はない!」と怒っている若い青年男性がいた。確かに衝撃的なカットなので、そう思う人がいてもおかしくはないのだが、そういう展示物が置かれているのを知ってて見に来たのでは…???

それより腹が立ったのは運営。入り口付近の最も混雑しているところで「順路は決まっておりません。空いているところから先にご覧ください!」と連呼しているのだが、それが成立するのは、混雑にムラがある場合の話。後から次々に人が入ってきて継続的に混雑しているのだから、後から戻ってきても混雑しているのに変わりはない。アナウンスは無意味だ。会場中のあちこちで、「順路を決めてくれた方がスムーズに回れるのに…」と愚痴が聞こえていた。既に何度も開かれている展示会なのだから、もうちょっと頭を使った運営ができそうなものだが…。