終戦のエンペラー

公開されたばかりの "終戦のエンペラー"。この場合のエンペラーは昭和天皇のことなのだが、なんとなく「制作は苦労したのでは?」と腫れ物に触れるような思いで鑑賞したのだが、とても良い映画だった。できるだけ記録に基づいて制作されたようで、歴史を知る上でも貴重な作品だった。

GHQ が、戦争責任を追求する (どのような意思決定プロセスで開戦が決議されたのか?) 物語なのだが、アメリカ人には理解しがたい日本文化、日本人の精神構造に基づいた、決定者不明瞭型意思決定プロセスの全体像を赤裸々にすることは簡単ではなかった。"天皇を戦犯に" という連合国側の世論の中、天皇が開戦に関与したかどうかは、どうしても明らかにならないまま、期日は迫る。結果は…史実の通りなので、まあ、予想外のどんでん返しはない。

史実かどうかは分からないが、「開戦の責任が陛下にあるかどうかは分かりませんが、終戦は陛下の功績です。」という台詞があった。この言葉の重みは、劇中でも表現されていた "宮城事件" が物語っている。当時の情勢で降伏を選択する事は、自らの命をかけるほどの英断だった訳だ。

それを踏まえて…。最後のマッカーサーとの対談での天皇の言葉は、感動を覚えずにはいられない。映画を見ながら号泣してしまった。素晴らしいリーダーシップと、責任者としての覚悟に、尊敬の念を抱いた。