考具

「アイデア発想を才能に頼らないで、システマティックに。」
もしかしたら、新しいものを発想できるのは、天賦の才だと思われているかもしれない。いや、まあ、生まれもっての才能ってのがある可能性はあるのだろうけど、それでも無限にアイデアが湧き出てくるとは思えないし、いずれは枯渇するんぢゃなかろうか? まして、著者のように仕事で企画を考えなければならないとなれば、偶然に頼っている訳にもゆかないだろうしね。

で、どーやってアイデアをシステマティックに量産するか? その方法論が本書。マンダラートやマインドマップ、カラーバスなどなど、いろんな道具が登場する。考えるための道具だから、"考具" って訳だ。

たぶん…。新たなモノを発想するってのは、発想、整理、淘汰の手順を踏むと思われるが、学校ではなかなか教えてくれない。記憶と応用を重視する教育方針なんだろう。発想、整理、淘汰のいずれも、記憶された情報を使って行う訳だから、記憶型の教育はそれなりに有効だと思うんだけれども、その結果として、新たなモノを生み出す発想力ってのは、全般的に弱い国民性のような気がする。

で、本書。

新たなモノってのは、ゼロから生み出すんぢゃなくって、他からの応用、転用であることを踏まえて、あそこから引っ張って来てみたらどうか? ここから広げてみたらどうか? といった、著者が使っている方法論を "考具" としてまとめている。いずれも既知のモノなんだけれども、著者が実際に活用しているだけに、具体性があるし、それぞれの "考具" の活用場面や連携も書かれていて、なかなかおもしろい。

天賦の才を持ち合わせていなくても、こーゆー "考具" を使えば、そこそこの企画を生み出してゆけることは間違いない。実際、身の回りにいる発想力があると思われる人は、だいたい、このあたりの "考具" を使ってるしね。

漠然と考えているよりも、絶対に、確率が上がるから、お試しくだされ。

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

考具 ―考えるための道具、持っていますか?