少女売買
「遠い異国の出来事だから実感はない。けれど、知っておいて欲しい真実の一つではある。」
売春を目的としたネパールの人身売買のノンフィクション。自分に直接影響するような身近な問題ではないけれど、年端もゆかない幼女が売買され、セックスワーカーとして働かされる世界があるってことは、知っておかなきゃならない真実の一つだと思う。
私は売春が悪いことだとは考えていないし、合法化すべきだとゆー立場をとる。なぜ、違法行為とされているのか、理解できなかったりするのだが、この本を読んで、問題点がはっきりした。それは三点。
まずは、人身売買。これがけっこう大きなマーケットになっているらしい。自らの意思でサービスを提供するならともなく、騙されて売春させられてしまうことは、大きな問題だ。んでから、HIV を含む性感染症の拡大。この問題も小さくない。最後に、ドラッグの蔓延。薬漬けにして洗脳してしまうなんてのは常套手段だろうからね。売春そのものは "悪" ではないと思うが、そーいった売春に付随する諸問題がある以上、取り締まざるをえないのが実情なんだろう。
さて、ネパールの話。貧困と識字率の低さから、騙されやすい状況にあるようで、インドへの幼女の輸出が盛んなようだ。まったくもって、悲しい話だ。子どもが犠牲になるのはいかんよなぁ〜。(TT)
本書によると、騙されて売買された少女たちを救済する組織がいくつかあるらしい。んが、支援内容がちょっと的外れに思えるところがある。彼女らを守るとゆー大義名分のもとに、過保護な支援をしているように思えるんだよなぁ…。鳥かごに入れておくことぢゃなくって、かごの外で生きてゆくための教育支援だけぢゃぁ、ダメなんだろうか? せっかく救済しても、また、元の世界に戻ってしまったり、自らが少女売買に加担する立場になってしまうみたいだけれど、だからと言って、鳥かごの鳥が幸せってことはないのだし。いくら彼女たちを教育しても、社会が腐敗しているから解決にはならないのかもしれない。んであれば、社会全体に教育支援ってゆー道もあると思う。そっちの方が遥かに大変なんだろうけど、急がば回れってヤツかもしれない。最初は狭い範囲でも、活動そのものが成長してゆくように思うのだが…。
まあ、何もしていない部外者が偉そうなことを言ってるだけではある。
女性が書いたノンフィクションは、他のもにたような傾向があるのだが、やや、自分が苦労した感、自分が頑張った感が出ていて、そのあたりがちょっと気になる。んが、最後のあまりうれしくないエピソードまで含めて、興味深い現実の暗部を垣間みることができた。
- 作者: 長谷川まり子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/11/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 40回
- この商品を含むブログ (8件) を見る