ノルウェイの森

「生と死とセックスと。」
私がこーゆー小説を読むのは、ホントに珍しい。昔、昔、若かりし頃は、読書と言えば小説を読むことだったが、最近は技術書、ビジネス書、経済、自己啓発、社会といったあたりが読書の中心となっているからねぇ〜。で、「ノルウェイの森」なんだが、これを読んだのは、友だちが貸してくれたから。小説そのものよりも、貸してくれた友人が好む本がどんなものなのか興味があった訳だな。

一人の青年の回顧録として、一人称で綴られる本書。やや官能的な内容で、電車の中で読むには少々恥ずかしかったりするのだが、その表現があればこそ、淡い死生観を見事に描写しているように感じられる。

男性側のセックスに対する感情や思いは、みょーにくすぐられるモノがある。これは著者の村上春樹氏が男性だからいいとして、女性側のセックスに対する思いや苦悩の描写までが緻密なのだ。小説そのものの醸し出す雰囲気はもちろん素晴らしいのだが、ついついこーゆーところに目がいってしまう。いくつになっても、女は謎だからねぇ〜。

最近、硫化水素事件が世間を賑わしているが、本書に登場する死も自殺が多い。生きることと死ぬことについて、物語を通して何かを表現しているのだが、それが何かを的確に表すことは私にはできない。いや、できないからこそ、物語として語ることに価値があるのだろう。モワモワと感じる何かが、この先の自分に人生にどんな影響を与えるかは分からないが、忘れられない物語となりそうだ。

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)