マネーロンダリング入門

「いつか大金を手にした時のために。:-)」
教養として身に付けておきたい "マネーロンダリング" の入門書…か? (^^; まあ、"入門" って付いているのは煽りだろう。「そんなもんの入門書って、ええのん?」みたいな興味をそそるだろうからね。実際は事例集になってる。

マネーロンダリング (資金洗浄) ってのは、犯罪などによって得たお金を綺麗にすることなんだけれども、綺麗にするっていったいどーゆーことよ? ってけっこう疑問だった。綺麗なお金、汚いお金って、いったい何?

その答えは「お金の流れを遡っていっても、犯罪にたどり着けなくなる」ことだ。例えば、外国の口座を作ってそこを経由してしまえば、日本の捜査は及ばなくなる、みたいな事象を利用する訳だな。外国の口座は外国の法律が適用されるから、そう単純にはいかないだろうけど、まあ、いろいろ手はあったらしい。当然、バレるごとに規制は厳しくなってゆくから、昔の手法が今も使えるとは限らない訳だ。

もともとの意味から少し離れたところで、税金対策のためにお金をやりくりするのも、マネーロンダリングと呼ぶ。税金の安い外国にペーパーカンパニーを作って、そことの取引にすれば、そのためにかかるコストよりも、普通に支払う税金より安くなったりする訳だな。このあたりは違法ではなくって、どうどうと金融商品として売られていたりする。

お金持ちならともかく、私のような一般市民には基本的に縁のない話だ。ただ、どうやってお金持ちはお金を増やしているのか、頭のいいヤツらはいったいどんなことをしているのか? そーゆーことを知識として知っておくことは、けっこう楽しい。「やっぱ世の中、うまくやったヤツが得をするんだねぇ…」ってことがいろいろ分かる訳だが、それを "悪いこと" と決めつけてアレルギー反応してしまうのは、ちょっと違うなぁ…とゆー感覚が芽生えてくる。

「そーゆーことをしないことが果たして善なのか?」ってゆー見方もあるんぢゃないかな? なんの工夫もせず高額な税金を納めても、その金で余計な道路を造ったり、空出張してたりするのをどう考えるのか? とかね。"悪いこと" と決めつけるのは、工夫をする手間が嫌なのをカモフラージュするエクスキューズなのかもしれない。少なくとも違法でない限りは、"悪いこと" ではないんぢゃないかなぁ…。

本書はライブドア事件などの経済犯罪の解説から始まり、テロリストのマネロンの話や、裕福層向けのサービスの解説もあり、無知な私にはとても興味深いものだった。そんなに複雑なものでもなくって、数学のスキルとかが求められる性質のモノでもなく、仕組みを知っているかどうかと、そこへアクセスできるかどうかで決まるものなんだねぇ…。

マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで (幻冬舎新書)

マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで (幻冬舎新書)