iPhone ショック

「日本からは生まれない iPhone の謎が明らかに。」
新年一発目に取り上げる本は、"ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり" を綴った、林信行著の "iPhone ショック" だ。

# なにが "書き初め" なのかは、Life is beautiful: 「書き初め」でよくない? を参照されたい。

日本でも iPod touch が去年の夏から発売されているが、やはり本命は iPhone だろう。もちろん、スペックの差はあるのだが、それより何より、ケータイビジネスに与える影響が大きい。2008 年、きっと何かが起こる。

"日本メーカーはなぜ魅力的な製品が作れないのか?" そんな帯に包まれて書店に並んでいる本書だが、要因の一つは、常にユーザーを観ている Apple と、キャリアーを観ている日本のメーカーの差にあると言う。一月ほど前に取り上げた "ケータイ業界52人が語る「戦略」の裏側" でも、「これは絶対に日本メーカーには作れない。」と語る日本メーカーのエンジニアのコメントが掲載されていたが、これはけして技術の差ではないのだ。事実、iPhone に搭載されているカメラの性能は、はっきり言って時代遅れで、日本のケータイに搭載されているカメラの性能には到底及ばない。GPS、お財布機能、ワンセグと、日本のケータイは驚異的な性能を誇るのだ。機能面は…だ。しかし、心をくすぐるのは、iPhone なのだ。

Apple 一社で作っている iPhone は、Mac と同じく業界スタンダードになることはないだろう。が、ロイヤルカスタマーの心をわしづかみにした iPhone。その機種単体での販売台数は、おそらく他の追随を許さない数字をたたき出すはずだ。そして、新たな収益モデルを築き上げたことで、売上と株価は大きく向上するに違いない。

そんな iPhone を中心に、Apple の企業文化と業界動向を俯瞰した本書は、Apple フリークでない一般の人々に届いて欲しい一冊だ。

IPHONEショック

IPHONEショック

Newton を切り捨てたからには、iPhone をそれ以上に魅力的なギミックに育てて欲しい。