大人問題

「鶏が先か卵が先かって? 鶏に決まってんだろ!」
少年犯罪が取りざたされ、イジメが陰湿化し、不登校だの、ニートだの、まあ、若者の問題がいろいろと取り上げられるが、おかしいのは大人社会なのだ。大人社会がおかしいから、それが時間の流れとともに形を変えて表出するのだ。いや、待て。不登校ニートは果たして問題なのかどうかすら怪しい。古い世代の価値観から見て、ずれている現象なだけかもしれない。…まあ、そのあたりの話をし出すとややこしいので、とりあえずサラっと流しておく。

世の中、おかしなことを子どもに押し付け過ぎている。好き嫌いがダメな理由、学校に行かなきゃならない理由をちゃんと説明できるか? 説明できないまま、強引に押し付けてたりしないかい? 会社で上司から納得できない説教を受けたり、仕事を押し付けられたりしてるのと同じ流れで。理不尽な大人社会を変えられないから、その流れをそのまま子どもたちへ垂れ流している。時間も空間も連続しているから、伝播しちゃうのは仕方が無い。だから、後世の問題を解決するには、今の大人社会の問題に気付かなきゃいけないんだ。

そんなふうに考えている人は少ないと思うんだが、実はみんな腹の中では分かっていて、仮面を被っているだけなのかもしれない。調べる手段がないから、実際のところは分からないけど…。とりあえず、痛快なほどにズバズバと大人社会にメスを入れてるのが、"大人問題 (講談社文庫)" だ。著者は絵本作家をなさっているそうで、実に暖かく味のある文章を書かれる。んが、表現とは裏腹に内容は鋭い切れ味を放っている。「そう、そう。そうなんだよ〜。」共感しつつ、最後までイッキに読み切ってしまった。

大人問題 (講談社文庫)

大人問題 (講談社文庫)

子どもを導くなんてのはおこがましい。しっかりしなきゃならないのは、実は大人の方なんだと云うことがよく分かる。