スローセックス 完全マニュアル

実践イラスト版 スローセックス 完全マニュアル

実践イラスト版 スローセックス 完全マニュアル

"AV は教科書ではない。" と云う話。

ハリウッド映画は観客を喜ばすためのエンターテイメント。ララ・クラフトやイーサン・ハントは実在しないのだ。それと同じように、AV も (主に男性を喜ばせるための) エンターテイメントであって、けして望ましい教科書ではないのだ。

考えてみれば不幸なことである。表の世界でどうどうと語られる話題でもなく、他人と比べてみることもできず、たいていの場合、たった二人でどうにかするしかない世界だが、社会的な抑圧が強く、二人っきりでもなかなかうまく望みを伝えられないのが現実。そんな状況にあっては、AV を参考にしてしまうのもやむを得ないところではあるが、そこに一石を投じるのが本書。主に男性が知るべきことがまとめられている。

今や "人" にとって、食事は単なる生存本能のための栄養補給だけではなく、日常生活の中の楽しみとなっている。同じように、子孫繁栄のための生殖行為、本能的な自己満足的な快楽を満たすための行為ではなく、人として、お互いの愛を確かめ合い、深め合い、一人では到底到達し得ない高みにある満足感を得る。そんな営みに昇華させるモノとして、思いやる気持ちと、それを表現するテクニックが書かれている。

唯一、"正しい" と云う表現だけは気に入らず、心の中で "望ましい"、"好ましい" に置き換えて読んでいたが、内容の質は、研究の成果と呼ぶに値するモノだ。

これは義務教育で教えるべきだ…とまでは言わないが、誰かに教えてもらえることでもない世界の話なので、嗜みとして抑えておくことを強くお勧めしておきたい。

愛する人のあるすべての人に。