お金がなくても平気なフランス人 お金があっても不安な日本人

お金がなくても平気なフランス人 お金があっても不安な日本人 (講談社文庫)

お金がなくても平気なフランス人 お金があっても不安な日本人 (講談社文庫)

フランスと日本の両方の生活を経験した著者による、経済感覚と文化の違いを綴った本書。

お中元、お歳暮に代表されるような、非合理的な日本の習慣に不満がある人は少なくないと思う。ずっと日本で生活していると、なかなか気付かないことだけれども、"お返し" なんてのも、そーゆーものの仲間だったりするようだ。フランス生活を経験した著者の目を通して、すっかり麻痺してしまっている普通の生活が、あくまでにジャパンスタンダードだと云うことを思い出させてくれて、別の価値観があることに気付かせてくれる。

タイトルから分かるように、どちらかと言えば、フランス贔屓に書かれている。本書を読むまでもなく、メンタル的に満たされて、幸せを実感できるのはフランス流なのだろうと思っていたのだけれど、隣の芝だから青いだけのような気もするし…。うーん。本書を読んでみても、やっぱ、どちらが幸せなのかは分からないなぁ…。

でも、本書を読む限り、「なんかおかしい〜」と思うことの多い日本文化に比べて、フランス文化の方は納得できることが多いような気がする。特に、最後の章に書かれている。ル・ヴィアジェは、すばらしいシステムだと思った。老人が生きているうちに、自分のアパートを売ってしまうのだけれども、「死ぬまでは住んでるからね。」と云う権利を保持するとゆー、ちょっと変わったシステムだ。買った方はすぐに住める訳ぢゃないから、かなり安く買えるのだそうな。売る方は生きているうちに財産を現金化できて生活が潤うし、買う方は、いつ住めるようになるか分からないものの、低価格で住居を所有できるって寸法だ。なんて合理的なんだろう!! これは日本でも取り入れて欲しいなぁ…。

海の向こうの空気を吸いたい人に。