ザ・ファシリテーター

ザ・ファシリテーター

ザ・ファシリテーター

既に "ザ・ファシリテーター2" を読んだのだが、やっぱ "ザ・ファシリテーター" も読まないと…と云う訳で手にした本書。

期待を裏切らない面白い内容だ。生き残りのための企業改革を実践するサクセスストーリーを通じて、ファシリテーションの手法を紹介し、読者に成功を疑似体験させる企画モノ。手法の解説書だとどうしても形式的で堅苦しいところがあり、いざ実践しようとすると、ぎこちない進め方になったり、うまく周りを引き込めなかったりする。しかし、ストーリー仕立てだと「そんな片意地張らなくても、もっと気軽に実践できる」ことが伝わってくるし、試しにやってみようと云う気にさせてくれる。

ところで…。ファシリテーションのツールを見ていると、どこか他で見聞きしたものばかりだったりする。たぶん、アイデア発想法とか整理術とかコーチングとか…が好きな人には、既知のモノばかりだと思う。新しいツールを生み出すのではなく、どのようなシーンで、どのツールを使うのが有効なのか、応用編として集大成みたいな感じだ。

一つのツールや方法論では実際の現場では難しいところが多々ある。人が関わる以上、例えば心理学は無視できない要素だったりするが、そこから理想論や精神論で逃げないところがおもしろい。方式にこだわるのではなく、結果にこだわるのがいい。どうやら、このシリーズを読んで、すっかりファシリテーションに取りつかれてしまったようだ。

物語としても十分におもしろい。映画を撮っても十分に客を呼べるんぢゃなかろうか?

# その際は、関西弁で理屈をこねるちょっと嫌なおやじ役で、キャストに加えてくだされ。:-)