失敗の予兆-2-

「肩書き明瞭、役割不明瞭。」

プロジェクトチームを結成し、客先への提案書として体制図を提出するのが慣習となっているが、見積もり根拠として肩書きを付けるだけのものに過ぎないところが多い。少しつついて、実際の役割、責任、権限を確認してみると…。

  • 行き当たりばったり。
  • 実態を理解していない教科書的なもの。
  • メンバーのスキルを無視したロール。
  • 責任と権限がアンバランス。
  • 責任と仕事の部下への押しつけ。
  • 全員主義。
  • 具体性の欠如。

…などがすぐに露呈する。このあたりで、けっこう危険な匂いを感じる。役割を固定化せず、よいパフォーマンスを発揮するように改善していくような工夫も必要だが、そこまで柔軟に考えられる人は稀だ。モノを作り上げる、納期に間に合わせる、効率よく開発を進めるといったようなことよりも、多くの場合は形式的なモノの方が優先するからだ。中には形式部分を適当にこなし、実質的な部分に手腕を発揮する人もいて、そういう人が影響力のある立場にいればプロジェクトがうまく進む可能性は高まるが、まあ、そんな幸運に恵まれることは稀だろう。問題が起こってから「それはお前の責任だろう」みたいな話が明らかになることが少なくなく、「今更言われても時間はロールバックできないのに…」と悩まされ、失敗プロジェクトへ足を踏み入れてゆくことになる。