厳密

「厳密で困るケースと曖昧でかまわないケースの分解点が曖昧だ。:-)」

先の日記 "検証" で、コミュニケーション上では困らないと書いた。コミュニケーション上で困らないのなら、それでいいぢゃないかと思われるかもしれないが、それは "実作業に結びつかない場合の話" だ。より正確な理解が求められるシーンで曖昧なままだと困る。…ところがなぜか、現実世界は曖昧なまま動く事が多すぎる。少し前に参加していたプロジェクトの話なんだが…。

とあるプロジェクトで、"リスク管理" をすることになった。たぶん、社内の標準プロセスに従ってのことだろう。共有フォルダにエクセルでファイルが用意され、しばらくすると、いくつかリスクが記載されていた。しかーし、中身を確認すると…。「どこがリスク管理やねん!」と、思わずボソッと突っ込みを入れてしまった。ふつーの照会事項*1やふつーの作業項目が、リスクに見えるっぽい文体で書かれているだけで、リスクと呼べるものはまったく書かれていなかったのだ。だけど、誰もプロジェクトに異議を唱えることなくそのまま進んでゆき、「リスク管理をちゃんと実施しているプロジェクト」と云うことになっていたのだ。「"リスク管理" と云う名前のついたファイルがあるプロジェクト」なら間違いではないのだが…。:-P

「仕事をすること」と「仕事をしているフリをすること」に必要な労力はすごく違うが、たいていの場合、マネージャはその二つを区別できない。

昔、こんな助言をもらった*2のを思い出し、何も言えないまま時は過ぎ、プロジェクトは混沌へ向かってゆくのだが…。"リスク管理" についての共通理解があれば、そんな不幸は訪れなかったはずだ。だから、厳密な定義は重要だと考える訳だ。

*1:「○○について、まだ確認できていない。」みたいな感じ。「そのまま照会管理の方に書いてくれ〜」」って感じ。

*2:ネタ元は "ディルバートの法則" だそうな