★★★★☆「脳のなかの幽霊」

「常識が音を立てて崩れるほどおもしろい。」

「脳のなかの幽霊 (V.S. ラマチャンドラン & サンドラ・ブレイクスリー)」と云う奇妙なタイトルだが、一般向けに書かれた分かりやすい立派な神経科学の本である。

この本を手にしたのは、http://gowest.hustle.ne.jp/blog/ の ghoso さんが来阪された時に一緒に飲みに行って、薦めていただいたからだ。

これが実におもしろい。神経科学、脳科学なんてまったく知らない世界の話だが、いろいろ自分の思うところはあった。私は「人間は本能による行動はかなり少ない。ほとんどが学習によって身に付けるようにできてるはず」と主張し続けていて、「お前は理屈っぽい。俺は本能に従って生きてるんだぁ!」みたいな主張と対立していたのだ。酒の席の話だけどね。ところが、どうやら私の考えていたことを上回るようなのだ。まさか手足の動かし方が学習の結果だったなんて…。

これはホンの一例で、この本は、面白い話、新しい発見の連続である。ウィットに飛んだ話も織り込んであるし、実験の内容もすごく日常的で、自分で簡単に確かめられるものもある。きっと、今までにない刺激を受けるはずだ。できるだけ多くの人に読んでいただきたい一冊である。

脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)

脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)