衰退

「二つの記事には関連がないと思われるかもしれないが…。」

ちょっと記憶が定かではないのだが、確か「世界一受けたい授業」の中の藤沢晃治氏の授業だったと思う。

「わかりやすく伝える技術」の話で大きく頷きながら拝見していたのだが、最後の方で違和感を感じた内容があった。残念ながらサイトに載っていない*1のだが、地図の向きの話だ。北が上の地図よりも、目的地が上にある地図の方が分かりやすいと云うことなんだが…。で、「震災時帰宅支援マップ 首都圏版」がちょうどそうなっているらしいので、ここで挙げてみた。その方が見やすいことに意義をとなえるつもりはない。ただ、それでいいのか? と云う点で違和感を感じるのだ。

昔、ピーター・フランクル*2がテレビで「これだけ大勢の人が地図を読めるなんて、日本はすごく優秀な民族ですね。」と話していたことがある。地図を見て、頭の中で現実世界との対応付けができる能力は、数学で必要となる能力に通じるものであり、従って日本人は数学がよくできる民族だと云う話につながる。数学番組だからね。まあ、それはともかく…。

確かに地図の向きを変えると見やすくなるシチュエーションはある。けれども、それに慣れてしまうと、せっかくの能力が衰えていってしまうことは間違いない。これにどうも違和感を感じてしまうのだ。

「日本語が書けない子供たち」の方もそういった観点から気になる記事だ。先日、かつての担任教師と一緒に飲んで話を聞いたのだが、文章を読めない、書けないと云うのが切実な問題になっているらしい。数学の授業をしても、読解力の方に問題があってなかなか先に進めないそうな。

いろいろ便利になった方がいいこともたくさんある。そのメリットを享受して生活しているのは間違いないのだけれども、人の能力を衰退させるものは少し考えた方がいいんぢゃないだろうか?

鶏や魚を捌けない私が言うと、矛盾しているような気はするのだが…。

*1:だから、もしかして違うところで見たのかもしれないと不安を感じているのだが…。

*2:ハンガリー出身の大道芸人でもあり数学者でもある、とてもおもしろい人。