★★★★☆「アマゾン・ドット・コムの光と影」

「ワンクリックの向こう側。」

ちょっと告発本っぽいタイトルではあるが、そこまでのものではない。"ワンクリックの向こう側" ぐらいがちょうど良さそうだと、大きなお世話を焼いてみる。

徹底した秘密主義を貫くアマゾン。そのアマゾンの物流センターに著者が実際にアルバイトとして入り込み、内情を赤裸々に綴ったのが本書。ワンクリックで欲しい物が自宅まで届く便利な世界の内側がどうなっているのか? 著者の潜入ルポで堪能されたい。けしてバラ色の世界ではないのだけれど…。

"ワンクリックの向こう側" がちょうどいいと思ったのは、未来の世界の意味も込められるからだ。最近は、フリーターやニートの増加が社会問題となっているが、その流れがマスマス加速されることを予感させる内容となっている。上がり過ぎた人件費を押さえるために、企業は正社員雇用よりもアルバイトを選択する訳だが、その先に待ち受ける未来はどんなものなのだろうか? ちょっと空恐ろしくなってしまうのだけれども…。

この本がアマゾンで販売されていると云うのが、皮肉めいている気がしないでもない。

アマゾン・ドット・コムの光と影

アマゾン・ドット・コムの光と影