順序

「あ、頭が痛い…。」
朝っぱらから「成果物を作ることが目的ではありません。」と、頭痛の種のメールが届いた。

画面と帳票を合わせて 100 個ほどあるんだけれど、サンプルイメージと定義書をあと一月ほどで作らなきゃならない。私一人でだ。この条件を設定した人物と、頭痛メールの主は同一人物だ。

一日に 1 画面 (または帳票) を作るとしたら 100 営業日が必要。逆に 20 営業日程度で作ることにするなら、5 画面 (または帳票) を 1 日に作らなきゃならない。このペースで成果物を作るなら「ややこしいことに頭を使っている時間はない!」のだ。

なんでも、「お客様との間で機能内容を共有することが重要」なのだそうだ。そりゃあ、まったくもってその通りなんだけれども、ぢゃぁ、「成果物を作ることが目的ではありません。」は、成果物を作らなくてもいいと言っているのか???

いつもながら愚痴から始まるのだけれど、これはあくまで導入部であって、本論ではないので、誤解なきよう…。

閑話休題

優先順位と云うものがある。どうも、これがよく分かってないんぢゃないかと思われるケースにぶつかることがよくある。機能 A は機能 B よりも優先順位が高いと言いつつ、ある日、「ぢゃ、機能 B は削りましょう!」と進言すると、「いや、全部必要やねん。」と言われて、結局、両方ともうまくいかなくなったりするアレだ。

昔「ベストテン」と云う歌番組があった。リクエストの多かった曲を放送する番組で、子供のころは毎週欠かさず観ていた。もし、野球中継が延長して放送時間が 15 分しかないとなったらどうするだろう? 普通は後続番組を順延するので、あくまで例えばの話だ。放送時間が 15 分しかないなら、1 曲 5 分計算で 3 曲だけ放送できるから、なんらかの基準で 3 曲に絞って放送することになりそうだ。たぶん、視聴者が聴きたい 3 曲 (要するにベスト 3) を放送することになるんぢゃないかな。もし、放送時間が 5 分なら 1 位だけだ。

これが優先順位だ。時間と云う制約の中に、時間をオーバーする何かを詰め込むことはできない訳だから、理想的な状態ではなくなった時には、何を切り捨て、何を残すかを決めなければならない。上位 3 曲の放送を決断したと云うことは、4 位以下の曲を放送しないことを決断したってことなのだ。

これが、いざ自分の身に降りかかってくると、なぜかできないらしい。不思議なことに、まだ幸せなうちは冷静に優先順位の話をしているのだけれど、期日が迫るにつれてまともな判断が失われてゆき、優先順位が決められなくなる傾向にあるようだ。時には影腹を切る思いで決断を下さなければならないこともあるだろうが、全部ダメになるよりも、一部でも残した方がいいはず。でも、現実は、すべてをダメにしてしまう道を選ぶ人が多いんだよなぁ…。

最初のメールの話は、指定成果物以外の方法で目的を達せよと言いたいらしい。もし、本気でこれを望むのならば、指定成果物の期日を一旦解除しなければならない。時間は有限であり、二律背反することは実現できないのだから。そういう判断をするのがプロジェクトをコントロールする立場にあるあなたのお仕事なのだよ。…と言いたいところだけれども、話して通じる相手ではないので、黙々とサンプルと定義書作りに励むのであった。

…さて…。どうやって誤魔化すかな。:-P