教育

「職人を育てるよりも、職人ぢゃなくても作れるようにした方がいいんぢゃないの?」

昔、LED の大型ディスプレイを作る工場で仕事をしていたことがあるのだが、組み立てていたのはほとんどパートのおばちゃんたちだった。もちろん、おばちゃんたちは電気のことなんか何も知らない。そんなおばちゃんたちの給料は、ぺーぺーのオイラよりも安かった。

その工場では、おばちゃんたちに電気工学を教えたりはしなかったけど、IT 企業ではオブジェクト指向とか、開発プロセスとか、プロジェクト管理とか…いろいろと教育を重視しているのが一般的だと思う。企業として大々的に取り組んでいるところもあれば、自己啓発と云う言葉で済ませているところもあり、程度の差こそあれ "底上げ" が重要だと云う点では方向は一致しているはずだ。

だけど、大量にいる IT 技術者全体の底上げなんて無理な話だ。

研究は大事。研究者は新しいパラダイムをどんどん考えればいい。学習も大事。技術者は新しい技術をどんどん吸収すればいい。でも、難しいことを全員に教育することは不可能だし、教育コストもかかる。教育の不足をプロジェクト失敗の原因としたところで、次もやっぱりうまくいかない。だから、研究者や技術者はともかく、企業としては違う方法を考えなきゃいけないんぢゃないかと思うのだ。「パートのおばちゃん」だな。

IT は知的作業だから…うんぬんとはよく言うけれど、きっと昔の職人さんも同じようなことを言ってたはずだけど、機械化が進んだり、やり方を工夫したりして、職人でなくても物が作れるように時代は移り変わってきたはず。ほら、マクドナルドでハンバーガーを焼いてるのも、普通の学生でしょ?